懐かない保護猫たちと出会って|人馴れゼロから我が子になるまでのペットシッター記録

ペットシッターとして、たくさんの猫さんに出会ってきました。
その中でも、私の人生を大きく変えた出会いがあります。

それは、多頭飼育の保護猫さんたちのお世話をお任せいただいたときのこと。
十匹近くの猫さんが保護されていて、
みんな、人の手に心を許すどころか、保護主さんと距離を保ちながら暮らしていました。
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ご依頼の際、保護主さんはこうおっしゃいました。
「この子たちは誰にも懐かないんです。10年以上、なでさせてくれたこともありません」

けれど私は、そこから毎日、話しかけることを始めました。
「おはよう、なんて可愛いのかな」
「手は怖くないよ、触ってみていい?」
「大丈夫だよ、大好きだよ〜」
などなど。
最初は、ほんの少し距離を縮めるだけで、その子等のセーフティーゾーンがあり、逃げられてしまっていました。

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✴︎私が大切にしている「一瞬の見極め」

私のやり方は、いわゆる王道ではないかもしれません。
最初から「そっと触れてみる」ことも、実はあります。(本当に見極めた子のみです)

でもそれは、むやみに手を出すのとは違います。
それから手の代わりにおもちゃを使うこともあります。

猫さんがこちらをちらっと見て、「この人、何もしないかも」と思っている一瞬、
呼吸や視線、耳の角度、しっぽの揺れ方まで全部を読み取って、
「いまなら、大丈夫かもしれない」と感じたその時だけ。

0.5秒違えば逃げられる。
でもぴったりの瞬間を捉えられたら、「怖くなかった」が記憶される。

この『間』の読み方は、正直、他の誰かには教えられないかもしれません。

怖がりなにゃんこが懐いてくれることが多いので、改めて振り返ってみたところ、無意識にやっていることがいくつもあると気づきました。
たとえば、どんなことがあっても、気持ちを穏やかに整えてからお世話に入ること。
(にゃんこはなんでも分かっておるので、空気を読み取ってきます)
そして、にこにこして、心を開いてもらえるような空気をまとうこと。

それを積み重ねていくうちに、少しずつ、猫さんたちの反応が変わっていったのです。

数か月も経たないうちに、ほとんどの子がなでなでできるようになり、
毛玉が絡まっていた子には、ブラシを通すこともできるように。
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「猫使いさんですね...」
そんな風に保護主さんに呼ばれた日、嬉しくて胸がいっぱいになったのを覚えています。

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その猫さんたちの中に、2匹の妊娠中の子がいました。
名前は、カモミールとジンジャー。
出産を迎えるまでの体調管理とサポート、そしてその後の見守りお世話も私が担当させていただきました。

最初、ジンジャーは大きめのバリケンの中にいて、出産直前の不安定な時期でした。

子猫を産んでからは、強い母性本能から、少しでも近づくとシャー!と威嚇される日々。

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それでも私は、敵ではないことを伝えるため、タオルを替え、ご飯をそっと置き、トイレ掃除も静かにこなしました。
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子猫がよちよちと歩き始める頃には、子猫をそっとバリケンの中に戻すと、ジンジャーは受け取ってくれるようになり、少しずつ「この人は危害を加えない」と認識してくれるように。
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やがて子猫たちが成長し、ジンジャー親子は広いケージに移動することになりました。

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その頃にはもう、ジンジャーは私のことを「お世話をする人」として受け入れてくれていて、シャーっと威嚇することもなくなっていました。

カモミールは、3匹の子猫を抱えるしっかり者のお母さん。

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お掃除のたびに子猫をかばいながらも、ご飯を食べることにも必死で、私が用意したごはんをもりもりと食べてくれていました。1670b2141d0955e91e593d4e803a15db2ab68e93.jpeg
同じく広いケージに移動したあとには、手の匂いをかいでもらいながら話しかけたり、おもちゃを振ってみたり。
それは、カモミールにとって"初めてのおもちゃ"だったようで
私がシッターとして、初めて「遊べた相手」になった瞬間でした。
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子猫たちは無事に育ち、それぞれ新しいお家に引き取られていったのですが、
ある日、ジンジャーが悲痛な声をあげながら、目から、涙がこぼれているのを見たのです。

本当に、目から涙が流れていたんです。
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(ジンジャーと手を繋ぐように)
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カモミールも、どこか寂しそうな表情をしていました。
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他のシッターにも保護主さんにもやはり懐かない、遊ばないというおふたり。
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(私には見せてくれるお茶目な一面)
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(そこおトイレなんですけどね)
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ふたりに「うちでゆっくり暮らそうね」と話しかけ決心しました。
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それが、私たちの始まりだったように思います。

私は、カモミールとジンジャーを自宅に迎えました。
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(迎えた数日後)

今もカモミールとジンジャーはとても怖がりで、お客様が来ると隠れてしまいます。お客様が帰られてもなんと何時間かは出てきません!!

でも私のことは、どうやら2人とも自分の子どもだと思っているようです(笑)
私の前では静かにそばで見守ってくれる.心配してくれている笑穏やかな子です。(早朝のにゃんこアラームは自宅に迎えてから今まで激しいです)
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あのとき出会った猫さんたちは、
私にとって「信頼ってどう築いていくのか」をあらためて考えさせてくれた存在でした。

カモミールとジンジャーが今も家族としてそばにいてくれること。
それだけで、あの時間がどれほど大切なものだったかが、静かに思い出されます。

シッターとして出会うたくさんの猫さんたちにも、
ペットさんと飼い主様、それぞれのペースを大切にしながら、お留守番の時間を支えていけたらと願っています。

にゃんずだけでなく、うさぎさんや鳥さん、小動物さんたちも、それぞれの暮らしに合わせて、やさしく丁寧にお世話しています。

新宿区・文京区・千代田区・豊島区を中心に東京都23区全域に対応しています。
ペットさんとの大切な時間を、安心してお任せいただけるよう、心を込めてお手伝いいたします。

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※本記事は、ペットシッターブリランテ代表・香取の実体験に基づき執筆されたオリジナルコンテンツです。
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